「refrain」は、超特急が2014年にリリースした「ikki!!!!!i!!」のカップリング。
「ikki!!!!!i!!」は、カップリング曲違いで3パターン同時リリースしています。
「refrain」は、そのうちの1曲ってことで、
言ってみれば
この名曲をそんな扱いにしてることにビビる。
超特急さん、贅沢すぎます。
さてこの「refrain」は、大人のカップルの別れを書いた曲。
夕暮れの別れの電車 という美しい情景が浮かんできます。
かなり大人っぽい曲だな~と思ったのが最初の感想です。
歌い出しはこんな歌詞。
“当たり前”すぎてウソみたい
明日からあまり会えないね
キミが降りていく駅までは
各駅停車でも早すぎる
この歌いだしを聞いたときは
「卒業しちゃう男子学生の歌?」って思ったけど、
しばらく聞いていると、これは大人のカップルの別れを歌った歌なんだな、と思った。
“手のぬくもり”という歌詞とか、抱きしめる振り付けとか、体の結びつきを表すコンテクストが多いから。
「refrain」は、お互いまだ好きで情もあるけど、話し合って別れを決めたカップルだと思います。
別れの曲のわりには暖かくて優しくて美しくて、それがとても寂しい。
お互い借りてたものや荷物も全部返して、いざ最後の日。
え、待って。明日から本当に会えないんだ。
“明日合う口実”が全く無くなったとき、やっと別れを実感する。
マイナス1と表現するくらいの、自分の一部を切り取られるような恋人との別れ。涙がこぼれないよう、深呼吸する。
“明日からあまり会えないね” なんてのは、せめてもの優しい嘘で、もう会うことはない二人なんでしょう。
優しさと寂しさが混じった感情を、夕日が温かく包む。
そんなふたりの最後の電車。
「refrain」は、歌詞のところどころに、電車ワードがちりばめています。
キミが降りていく駅までは 各駅停車でも早すぎる
窓の外は滲んでキレイさ 君にも見せたいな
この曲に限らず、超特急の曲は、電車に関する言葉や音が効果的に使われいるんですよね。
いろんな電車の物語があって、聞いてて楽しい。
しかし、この曲は、表現するの難しいよね。
なんたってリリースされたころは、メンバーのほとんどが二十歳以下なんだもの。
子供のころの恋愛って、「好きじゃなくなったから別れる」と至極単純明快なんだけど、
大人になると、「好きだからこそ相手を思って別れる」みたいな複雑なものが出てくる。
そういう別れって、すごく悲しいんだけどすごく優しくて美しい。
そんな心を表現するには、二十歳前後の彼等にはまだ早かったような。
優しい別れを経験してるメンバーは、いなかったんじゃないかなぁ、まだ。
でも、この2016年のLIVEで「refrain」をやったときの、カイ君の表情が私はとても好きで、
好き、寂しい、後悔、一緒にいたい、どうしようもない。
ひとことでは言いあらわせない感情を、カイ君は切なく演じています。
とても優しくてきれいですよ。
憂いを帯びた表情が素敵なカイ君。
0か10!みたいな感情じゃなくて、6~7くらいの曖昧で複雑な感情。
人間ってそうだよね。分かりやすい喜怒哀楽よりも、いろんな感情が混じってることのほうが多い。
特に恋愛なんて、何が正しかったのか、どうすればよかったのか、もっと何かしてあげられることはなかったのか・・・
そんな迷いがあるのが当たり前で、そうやって人は成長していく。
カイ君は、そんな主人公を一生懸命表現してくれています。
曲調はミディアムバラード。
低くしっとりしたAメロから、サビへの高みと向かうBメロ、そして高音が感動的なサビ。
構成は典型的なパターンですが、だんだん気持ちが抑えきれなくなってくる主人公の心情にリンクします。
ボーカルが感情移入しやすそうな曲です。
あと3年後くらい、もう少し大人になった超特急で、見てみたいパフォーマンスですね。
「refrain」はこちらのCDに収録されています。↓
「refrain」はこちらのBlu-rayに収録されています。↓